【特別講座】ジャーナリスト堀潤さんが語る「AI時代のメディアの役割」──“大きな主語”を脱し、“小さな主語”で伝える

MXテレビ映像学院は、特任講師を務めるジャーナリスト・堀潤さんによる特別講義を開催しました。
元NHKアナウンサーで、現在は『堀潤 Live Junction』でMCを務める堀さんが語ったのは、AIやフェイクニュースが氾濫する現代におけるメディアのあり方。これからの役割は「現場」への回帰と、「小さな主語」による発信にあると強調しました。

フェイクニュースに対抗するのは「現場」

講義冒頭、AIやフェイクニュースへの対抗策を問われた堀さんは、「現場に入ってみる、当事者に会う。これに尽きる」と即答しました。
精巧なフェイク動画が出回る今、情報の真偽を見極めるには一次情報へのアクセスが不可欠です。堀さんは、既存メディアが「関係者」など匿名の主語で報じる姿勢を「AIのフェイク拡散と同根」と指摘。「誰が発信したか」という一次情報の価値が、今後ますます高まると語りました。

「大きな主語」から「小さな主語」へ

堀さんが提唱するのは、「大きな主語」から「小さな主語」への転換です。「国」や「社会」といった大きな主語は対立を生みやすい一方、「〇〇町の〇〇さん」と主語を絞ることで、真の課題が見えてくるといいます。
災害時を例に、「避難してください」という全体への呼びかけより、「自宅前の道路が通れるか」という個別情報こそが求められていると指摘。 マスに向けた一律の発信ではなく、個人のニーズに合わせた「ハイパーローカルメディア」の重要性を説きました。

課題解決型の「ソリューション・ジャーナリズム」

報道の役割は「伝えて終わり」ではありません。取材を通じて人と人を繋ぎ、解決を図る「ソリューション・ジャーナリズム」が不可欠です。
講義では能登半島地震の事例を紹介。被災した輪島塗職人と、デジタル技術の専門家を引き合わせたことで、伝統工芸を「デジタル解剖」して世界へ発信する新たなプロジェクトが誕生しました。堀さんは、数字(視聴率など)よりも「伝えることで生まれる解決策」を評価指標にすべきだと語ります。

分断を超えて「対話」する勇気を

最後に、現在制作中の映画のテーマでもある「分断」と「赦し(ゆるし)」について触れました。
堀さんは、社会の分断は「うすうす気づいていながら関わらない」という態度の積み重ねから生まれると指摘。 安易に敵味方を分けず、問題から目をそらさずに当事者の声を聞くこと。そして、対立を恐れずに対話することの重要性を受講生に訴え、講義を締めくくりました。

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